【インタビュー】師橋千晴さん

公開日 2023年09月25日

更新日 2023年09月25日

三鷹市男女平等参画啓発誌「Shall we?」第77号(2023年9月発行)で特集した「三鷹の防災をリードする女性たち」のインタビューをまとめた記事です。

三鷹市男女平等参画啓発誌「Shall we?」とは

男女平等参画について、今注目したいテーマについて、市民の実感に基づいて編集し、読者に分かりやすく問いかけ、共に考えることをコンセプトに発行している啓発誌で、1993年の創刊以来、市民編集委員と市の協働により作成しています。

詳細は三鷹市ホームページからご確認ください。

師橋千晴さんプロフィール

プロフィール写真

(2023年7月現在)

代表理事を務める一般社団法人みたかSCサポートネットでは、三鷹市内外の小中学校で防災授業を企画・運営。
特に三鷹中央学園では、小学校1年生から中学校3年生までの9年間で系統立てた内容で授業を実施するなど、学校を中心とした地域の防災力向上に尽力している。

防災活動を始めたきっかけ

防災に目覚めたきっかけは、やっぱり2011年の東日本大震災ですね。
それまでも、PTAやコミュニティ・スクール、地域子どもクラブ(放課後の子どもの居場所づくり)の活動に携わっていましたので、子どもの安全を守る「防犯」の視点は強く持っていました。

東日本大震災が発生した日、私は地域子どもクラブの活動のため第三小学校に行っていました。
お昼を食べに近くのお店に行き、お会計をしているときにグラグラッときたんです。揺れが収まってから学校に集まり、先生方といっしょに点呼をしました。
目の前で大変なパニックになっている子どもたちや大人の姿を見て「このままではいけない」と思いましたね。

当時、長男が中学3年生だったのですが、もうすぐ子どもたちが高校に行き、三鷹を離れるかもしれない、一人で電車に乗って、自転車に乗って…。
そういうときに今回のような地震が起きたら、子どもたちはちゃんと自分の身を守れるのだろうか…そういう、母としての不安もありました。
こうした思いに周りの人が共感してくれて、前身となる「みたかスクール・コミュニティ・サポートネット」を立ち上げた時に、防災の勉強も始めることになりました。

自分たちの学びから子どもたちの学びへ、そして地域へ

防災授業の様子

防災に取組むことを決めたものの、最初は何から手をつけていいか分かりませんでした。
そこで、地域の防災リーダーの方や三鷹市防災課の方から教えてもらいながら防災の勉強をするところから始めました。
地域には、子どもたち向けの防災キャンプを主催するオヤジの会のみなさんや、お祭りのために防災用の炊出し釜を使い慣れている方など、さまざまな方がいらっしゃいましたので、そういう方から一つ一つ学んでいきました。

2013年には、子どもたちに知ってほしい防災の知識をまとめた冊子『カンガエル地域防災』を刊行しました。この冊子は現在、三鷹中央学園の防災教育副読本として授業で使われています。
三鷹中央学園では、小学校1年生から中学校3年生までの9年間を通して子どもたちが段階的に防災を学ぶ教育カリキュラムを実施していますが、そこに私たち「みたかSCサポートネット」として関わらせていただき、子どもたちが身につけるべき力を授けてくださる方々と子どもたちとをつないでいます。
例えば、子どもたちが地域を歩いて防災資源を見つける授業では、近隣の町会の方に協力していただいて、町会の取組を子どもたちがインタビューする、というようなことを行っています。

私は三鷹市青少年対策第三地区委員会の会長も務めていますが、そこでも防災の勉強会を行っています。
2023年3月に実施した第四中学校の避難所運営訓練では、青少年対策地区委員会の他に交通安全対策地区委員会やPTAのみなさん、近隣の自主防災組織のみなさんと中学生がいっしょになって避難所運営委員会の役割を体験してみました。
保護者や地域、先生方と義務教育最後のこの時期に、自助から共助を学ぶとても大切な時間を共有することができたと思います。

活動を振り返って

活動を始めた当初は風当たりも強かったですね。地域の防災対策についてもいろいろな意見を言ってきましたので、うるさいと思われていたと思います(笑)
でも言わなきゃ変わらないですし、「子どもたちを守りたい」という思いがありましたから、発信し続けました。
発信し続けることで少しずつ理解してもらい、協力してくれる人もたくさんできました。20数年、地域活動を続けてきて、そこで得た人脈や経験が強味になっています。
三鷹中央学園で私たちといっしょに防災授業をやってきた先生方が他の学校に異動して、そこでまた防災の芽を出してくれたりもしています。
これまで培ってきたノウハウを引き継いでいってもらえるよう人を育てるということにも力を入れていますので、今後も活動を続けていければと思っています。