公開日 2023年09月25日
更新日 2023年09月25日
三鷹市男女平等参画啓発誌「Shall we?」第77号（2023年９月発行）で特集した「三鷹の防災をリードする女性たち」のインタビューをまとめた記事です。
三鷹市男女平等参画啓発誌「Shall we?」とは
男女平等参画について、今注目したいテーマについて、市民の実感に基づいて編集し、読者に分かりやすく問いかけ、共に考えることをコンセプトに発行している啓発誌で、1993年の創刊以来、市民編集委員と市の協働により作成しています。
詳細は三鷹市ホームページからご確認ください。
藤田優美さんプロフィール
- NPO法人Mitakaみんなの防災事務局職員（三鷹市防災課から派遣）
- 防災士
- ペット防災指導員
（2023年７月現在）
防災課職員として防災NPO組織の設立を担当。
設立後は事務局を務めるとともに、自身も防災士等の資格を活かして防災講座やイベントの企画・運営を行っている。
防災NPO組織の設立
私たちが住む日本では、台風や地震などによる自然災害が毎年のように発生しています。
自然災害から私たちの生命や財産を守るためには地域が一丸となって取組む必要がありますが、少子高齢化や隣近所の関係の希薄化によって地域の防災力の維持・向上が課題となっています。そこで、一人ひとりの防災意識の啓発や防災リーダーの育成、防災活動団体との協働、地域の防災ネットワーク化などを行政と連携してより積極的に進め、災害に強いまちづくりを目指すことを目的として、2022年９月に防災NPO「Mitakaみんなの防災」が設立されました（2023年３月に法人化）。
団体の会員には、防災士の他にも、小中学校の防災授業に長年取組んできた方や町会として防災対策を進めている方、福祉施設で働く方、外国籍市民の支援を行っている方など、さまざまな知識・経験をお持ちの方がいらっしゃいます。そのネットワークを生かして、防災出前講座や防災イベントを行っています。
講師としての活動
私は事務局の一人として三鷹市から派遣され、会員のみなさんといっしょに防災出前講座や防災イベントの企画・運営を行っています。
2018年に『防災士』の資格を取得し、町会や自主グループの集まりに呼んでいただいて防災講座を行ってきました。
2019年に長女を出産しましたが、そのときに妊婦さんや乳幼児がいる家庭はプラスアルファの防災対策が必要なことを実感しました。
産前産後の自分の体もままならない中で、お腹の中にいる命あるいは生まれたての命を守らなければなりません。
家具の転倒・落下防止や日常備蓄、持ち出しリュックの準備など、あらかじめの備えがより一層重要になってきます。
一方で、赤ちゃんとの生活は毎日がバタバタしていて、防災のことを考える余裕がないという状況もよく分かります。
こうした自身の経験から『ママ防災士』として、実際にわが家で備えているものを紹介したり、風呂敷を抱っこ紐や授乳ケープとして活用する方法など、小さなお子さんを育てている方の不安や疑問に対応できるよう心がけています。
また、最近では『ペット防災指導員』という立場でお声がかかることも増えてきました。
三鷹市では6,500頭を超えるワンちゃんとそれを上回ると想定される猫ちゃん、その他のさまざまな種類のペットたちが暮らしています。
講座では、家でペットがお留守番しているときに災害が起きてもケガをさせないお部屋づくりやいざというときの避難の方法等をお伝えしています。
防災対策は、どんな住環境なのか、どんな家族構成なのか、勤務・通学先はどこか、配慮すべき身体上・健康上の特徴はあるか、などを考慮しながら一人ひとりにあったものを準備することが理想とされています。
NPO法人Mitakaみんなの防災では、それぞれの立場の方に寄り添った草の根的な対応ができるよう、さまざまな団体や防災リーダーとのネットワークを広げていく予定です。
『みんなの防災』にするために
女性の視点を防災に生かすことは、女性だけではなく、高齢者や障害のある人、外国人など、さまざまな立場の方にとっての安心につながることもあります。
例えば、避難所内の防犯対策や使いやすいトイレの整備などは、それぞれの立場の当事者だから気づく問題を対策に取り入れることで一層充実したものになります。
『誰も取り残さない防災』や『インクルーシブ防災』という言葉がよく使われるようになりましたが、
そのためにも、まずは一人ひとりが防災を自分事として考え、自分ができること・できないことを整理するところから始めるのが大事だと思います。
みんなの「できること」・「できないこと」を積み重ねていくことが、地域の防災力向上に生かされるのではないでしょうか。