公開日 2023年08月28日
更新日 2023年08月28日
令和5年8月8日(火)、大沢の里水車経営農家で行われている母屋の耐震補強工事を見学しました。
大沢の里水車経営農家
江戸時代の文化14(1817)年から昭和43(1968)年頃まで野川流域で水車経営を営んできた峯岸家の暮らしを当時の様子を残したまま展示している施設です。
峯岸家の水車は通称「新車(しんぐるま)」と呼ばれ、その機構の素晴らしさと文化財的価値の高さが高く評価されており、全国から見学者が訪れます。
施設情報
- 所在地
- 三鷹市大沢6丁目10番15号
- 休館日
- 火曜日(火曜日が祝日の場合は、その翌日)、年末年始(12月28日から1月4日まで)
- 入館料
- 200円(大沢の里古民家との共通券、中学生以下は無料)
- 公開時間
- 午前10時から午後4時(11月~3月)
午前10時から午後5時( 4月~10月) - 交通案内
- JR三鷹駅南口から「榊原記念病院」、「朝日町三丁目」または「車返団地」行バス、「竜源寺」下車徒歩5分
- 現地に駐車場はありません。近くのコインパーキング等をご利用ください。
- 団体見学申込
- 10人以上の団体での見学をご希望のかたは、
スポーツと文化部生涯学習課(電話0422-29-9862)
まで、電話でお申し込みください。 - 特設サイト
- 三鷹の水車しんぐるま(外部サイトへリンク)
※令和5年12月頃まで母屋の耐震補強工事を行っています。水車(水車小屋)は見学可能ですが、その他の場所は安全のため立入禁止となっています。
母屋の耐震補強工事について
峯岸家の母屋は、江戸時代の文化10(1813)年頃に建てられたと言われており、三鷹市で現存する最も古い民家です。
令和4年度に市が耐震診断をしたところ耐震性に問題があったため、令和5年6月から耐震補強工事を行っています。
耐震補強工事は、
- 柱の間に筋交いを入れるなどして仮補強
↓ - 母屋全体をジャッキアップ(揚屋)
↓ - 基礎の打ち直し
↓ - 母屋全体を新しい基礎に屋降ろし
↓ - 耐力壁の配置
という流れで行うそうです。
令和5年8月8日(火)に見学した際は、②のジャッキアップが完了し、⓷の基礎の打ち直しを行っているところでした。
母屋が丸ごとジャッキアップされていたのは衝撃!
これは「揚屋(あげや)」と言われる伝統的な工法なんだそう。建物の下にジャッキを入れ、全体が水平になるよう少しずつ調整しながら上げていきます。
何十カ所も入れたジャッキを5ミリメートルずつ調整していったとのこと。
ジャッキアップしたことで、養蚕に使われていたと推測される囲炉裏(いろり)の跡が見つかるなど、文化財的発見もあったそうです。
- ジャッキアップ前
- ジャッキアップ開始
- ジャッキアップ完了
ジャッキアップが完了した後は、建物の下に潜って基礎を打ち直す作業。
ジャッキアップしたとはいえ、さすがに機械は入らないので全て手掘り・・・猛暑の中大変そうです。
調査担当の方によると、このあたりはしっかりした関東ローム層の固い地盤で、今回も地盤改良は必要なかったとのことです。
ここまででも、ものすごい工事ですが、工事担当者の方は「この後の屋降ろしが一番の難関」とおっしゃっていました。
ジャッキアップした建物を歪みが出ないように慎重に基礎と組み合わせる。しかも、建物自体が年月を経て若干のズレが生じており、それを本来の形に直しながらミリ単位の仕事です。建築当時が尺貫法で作られているので、それを現在のメートル法で計算しなおすという苦労もあったそうです。
屋降ろしの後は耐力壁を配置して、建物を補強します。
が、ここは文化財。見学者の安全を守りつつ、可能な限り昔の暮らしをそのまま展示するという目的があるので、どこに耐力壁を入れるか、耐震の構造計算と文化財的保存の両方から検討が必要です。
リニューアルオープン後は、どこがどんな風に変わったか、どんな工夫がされているのかを見つけるのも楽しみ方の一つですね。
関係者の皆さま、色々と教えていただきありがとうございました。
大沢の里水車経営農家は、令和6年春ごろにリニューアルオープンの予定です。