山梨県富士山科学研究所視察研修のご報告

公開日 2026年07月13日

令和8年7月7日(火)に当法人理事及び正会員の計15名で「富士山科学研究所」へ視察研修に行ってきました!

東京都は令和7年に「地域防災計画火山編」を修正し、富士山噴火降灰に対する対応等について定めています。三鷹市でもどのようなリスクがあり、何を備えておくべきか、富士山噴火について学習します。

富士山科学研究所とは~富士山の過去(むかし)と現在(いま)を探求し、自然と暮らしを未来(あした)に繋ぐ~

日本のシンボル・富士山に様々な角度から光を当て、世界共有の財産として”守り”、”活かす”ための方策を科学的に追及する施設です。平成9年に開所した山梨県環境科学研究所で積み重ねた研究の成果に根ざし、さらに富士山の知を集積し、その情報・成果を発信するため、平成26年4月に「山梨県富士山科学研究所」に名称を変え現在まで取り組みを進めています。

富士山を中心とした周辺エリアの豊かな自然や生態系に関する「自然環境」、富士山の噴火災害に関する「火山防災」、これら研究を踏まえた人と社会のあり方「環境共生」の3つの体系の中で、研究を進めておられます。特に火山防災の分野は、「富士山火山防災研究センター」部門のみなさんが担当されています。

富士山科学研究所HPはこちら⇒山梨県富士山科学研究所

富士山サイエンスラボの見学

富士山サイエンスラボ入口

富士山科学研究所の館内は、入ってすぐに大きな富士山の立体地図が敷かれており、企画展などの展示が目に入ります。そして、1階奥には常設展示「富士山サイエンスラボ」が!

富士山の始まり⇒溶岩の大地から⇒生命のめばえ⇒わたしの住む富士山⇒安全登山 火山防災、と回遊しながら火山防災について学べる展示となっていました。

今回もじじょまると一緒に回ってきたので、写真とともにレポートをお届けします!

研究者への道
入ってすぐに、富士山火山防災研究センターの職員紹介や研究者への道のり(すごろくゲーム)がありました。一番最初に子どもたちの未来に向けた展示とは面白いですね!
富士山噴火の歴史
長い歴史の中で噴火を繰り返してきた富士山。直近だと貞観噴火(864年)と宝永噴火(1707年)が観測されていますが、これから先も噴火が起こる可能性のある活火山です。
富士風穴フォトスポット
じゃーん!噴火によって生まれた空洞(溶岩トンネル)に来ましたー!風の写真が撮れるフォトスポットも📷
 
立体模型
噴火で起こる現象の立体模型もありました。まさに「見える化」で、手作り感のある人形なども含めて伝わりやすい工夫がされています。
富士山噴火の避難クイズ
近くで噴火が起きたらどうする!?クイズBOXです。あなたはどれを選びますか?
 
富士山噴火の避難クイズじじょまる覗き
じじょまるは「逃げる」を選んだようですね。中の答えはどうだったんでしょう、ぜひ現地で確認してみてください!
自然の中の生物たち
富士山周辺の豊かな自然の中の樹々や生き物に関する展示も。触ってもいい大きな鹿の角もありました。
溶岩上のアカマツ林
施設の周辺は生態観察園として、溶岩上に生育した植物や生き物の観察コースが整備されています。
バードウォッチするじじょまる
バードウォッチポイント。じじょまる、何か見つけた?
 

写真を撮り忘れてしまいましたが、ほかにも火山噴火物や地層の展示など興味深いコーナーがたくさんありました!

富士山火山防災研究センター長の講義「噴火の被害と対応」

講義資料(表紙のみ)

頻繁には起きない災害…だからこそ正しく恐れ、備えておくこと
後半は富士山火山防災研究センター長の本多様より、約1時間の講義を受けさせていただきました。
日本だけでなくこの地球にはたくさんの活火山が存在しますが、噴火することは非常に珍しいですよね。洪水や台風、地震などの災害と比べるとその頻度は明らかに少ないですが、その特性や備えについて知ることは不要な心配や逃げ遅れを防ぐためにも大切です。

富士山ハザード統合マップ(令和3年3月改定)

火山災害の特徴は、低頻度なことに加え、推移予測の難しさもあります。少ない過去の事例をみても、噴火の兆候や噴火口の位置、規模、そしてその後の静穏化までの時間経過などは「終わってみないとわからない」のが現状です。そのため、富士山についても噴火口の分布調査(すべて実地調査!)から傾斜の角度、被害の種類(噴石や火砕流、溶岩流、降灰など)ごとの被害想定範囲のシミュレーションを繰り返し、ハザードマップが作成されており、これらの想定をすべて重ねると写真のような表示となりますが、注意書きにあるように、着色されているすべての範囲が同時に危険になるわけではないことを抑えておく必要があります。

それでは、三鷹市を含む首都圏への影響はどのくらいあるのでしょうか。当然ながら火口からの距離が遠いため、火災や家屋倒壊等の直接的な被害想定は極めて低いですが、降灰(直径2mm以下の細かく砕けた溶岩やマグマ)による、交通網やライフライン、農作物等の被害は大いにありえます。特に首都圏では、停電と物流の停滞による影響が課題となりそうです。しかし、電気が止まった時の対策、物が買えなくなった時の備蓄といえば、地震の対策と同じですよね。本多センター長曰く、一般家庭において火山災害のために特別に用意したほうがよいものは「防塵ゴーグル」くらいとのことで、それも特別なものでなく花粉症対策の眼鏡等でもよいとのこと。裸眼か眼鏡か、その時の気象条件などによっても、影響は異なります。粉じん対策はその場で考えて最善の行動をするという心構えをした上で、地震対策は火山災害にもつながる備えなのだという意識をもつことがよさそうですね。

富士山火山防災研究センターでは、火山災害の事例の少なさを補うため、火山灰走行体験や家屋の降灰実証実験など様々な研究を積み重ねているそうです。そしてそこで得た知見を、学校教育や教員研修などで普及・啓発しています。富士山の多様な性質を正しく知ることで、日本のシンボル・富士を守り、共生していく社会が繋がっていくんですね。